それは、大切な仕事のプレゼンテーションを三日後に控えた、ある月曜日の朝のことでした。鏡を見ると、右目の上まぶたがほんの少し赤くなり、瞬きをするたびにチクチクとした違和感がありました。「寝不足かな」と最初は軽く考えていましたが、お昼を過ぎる頃には赤みが増し、夕方にはまぶたの一部がポッコリと腫れ上がってきました。これがいわゆる「ものもらい」であることは一目で分かりましたが、見た目の悪さと不快な痛みに、私は大きな焦りを感じ始めました。なんとか自力で治そうと、ドラッグストアで抗菌目薬を購入し、こまめに点眼を繰り返しました。しかし、翌朝になっても腫れは引くどころか、右目が半分も開かないほど悪化してしまったのです。痛みはズキズキとした拍動性のものに変わり、仕事に集中することさえままなりません。ついに観念して、私は近所の眼科へ駆け込みました。診察室で医師に現状を伝えると、先生は落ち着いた声で「これは細菌感染による麦粒腫ですね。初期の痒みの段階ですぐに来ていればもっと早く治せましたが、今からでも適切な薬を使えば間に合いますよ」と言ってくれました。処方されたのは、市販薬よりもずっと強力な抗生物質の点眼液と、寝る前に塗る眼軟膏、そして炎症を鎮める飲み薬でした。驚いたのはその即効性です。お昼休みに一度目の点眼と内服を済ませると、夕方にはあんなに強かった熱感が和らぎ、夜には腫れの境界がはっきりとしてきました。そして水曜日の朝、鏡を見ると、赤みはまだ残っているものの、腫れは劇的に引き、両目がぱっちりと開くようになっていたのです。プレゼン当日の木曜日、私は薄くメイクをして(もちろん医師の許可を得た範囲で)、無事に大役を果たすことができました。この体験を通して痛感したのは、自分の感覚を過信してはいけないということです。市販薬で様子を見る時間も大切かもしれませんが、プロフェッショナルである眼科医の診断と処方には、それとは比較にならないほどの安心感と確実な効果があります。もし、あのまま独学のケアを続けていたら、今頃はさらに悪化して切開が必要になっていたかもしれません。また、医師からは再発を防ぐためのアドバイスとして、アイメイクのクレンジングを徹底することや、汚れた手で目をこすらないことの重要性を丁寧に教わりました。ものもらいは単なるデキモノではなく、体力が落ちているという体からのサインでもあります。あの数日間の格闘は、私に自分の体を労わる大切さを教えてくれました。今では、まぶたに一ミリの違和感を感じただけで、すぐに目を温めたり休ませたりする習慣がついています。