私は長年、自分の健康管理を内科に頼り切っていました。喉が痛くなれば「いつもの風邪だろう」と決めつけ、近所の内科クリニックを受診して数日分の風邪薬を処方してもらう。それが私にとっての当たり前の解決策だったのです。しかし、昨年の冬、その慣習が通用しない事態に見舞われました。ある日の午後、喉の右側だけにチクチクとした違和感を覚えた私は、翌朝には唾液を飲むのも辛いほどの激痛に襲われました。発熱は三十七度五分と微熱程度でしたが、とにかく右側の喉だけが異常に痛むのです。私は迷わずいつもの内科へ向かいました。医師は喉の入り口を診て「少し赤いですね、扁桃炎の初期かもしれません」と診断し、抗生物質と痛み止めを処方してくれました。ところが、三日間薬を飲み続けても痛みは和らぐどころか増すばかりで、ついには口を大きく開けることさえ困難になり、右の首から顎にかけて腫れが広がってきました。食事も摂れず、夜も痛みで眠れなくなった私は、不安に押しつぶされそうになりながら、初めて耳鼻咽喉科の門を叩きました。耳鼻科の待合室で待っている間も、内科でもらった薬が効かないという事実に「何か悪い病気なのではないか」と恐怖を感じていました。診察室に入ると、先生は私の顔の腫れを一目見るなり、すぐに鼻から細いカメラを挿入しました。モニターに映し出された私の喉は、右側の扁桃の周りがパンパンに膨れ上がり、中には膿が溜まっているのが素人の私にも分かりました。診断は「扁桃周囲膿瘍」というもので、内科の視診だけでは分からない組織の深い部分で化膿が進んでいたのです。先生はその場ですぐに局所麻酔を行い、メスで小さく切開して膿を排出してくれました。あんなに私を苦しめていた圧迫感と激痛が、処置の瞬間から嘘のように引いていくのを感じ、私は診察室で涙が出るほど安堵しました。先生からは「内科の先生は喉の入り口は診てくれますが、こうした深い部分の化膿や腫れを特定するのは耳鼻科の仕事なんです」と優しく説明されました。この体験を通して私が学んだのは、喉は非常に複雑な階層構造になっており、場所によって担当すべきスペシャリストが違うということです。内科が全身の炎症を管理するプロなら、耳鼻科は喉という狭い空間の中のミクロな異変を解決するプロです。もし私が最初から耳鼻科に行っていれば、これほど長く苦しむことも、膿が溜まるまで症状を悪化させることもなかったでしょう。喉の痛みは、単なる「風邪の予兆」である場合もあれば、今回のように「専門的な外科処置を要する炎症」である場合もあります。自分の感覚として、いつもの風邪とは違う特定の場所の痛みや、薬が効かない違和感を感じたならば、躊躇わずに耳鼻咽喉科を選ぶべきだと、今の私は確信を持って言うことができます。