「突発性発疹は、一度かかればもうかからない、一生に一度の病気」。そう信じている保護者の方は、非常に多いのではないでしょうか。確かに、一度かかると終生免疫がつくため、同じウイルスに再び感染することはありません。しかし、実際には、稀に「二度、突発性発疹にかかる」子供がいます。これは、一体どういうことなのでしょうか。その理由は、突発性発疹の原因となるウイルスが、一種類ではないことにあります。突発性発疹の主な原因ウイルスは、「ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)」と「ヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)」の二種類です。そして、ほとんどの(約90%以上の)初めての突発性発疹は、HHV-6によって引き起こされます。多くの赤ちゃんは、生後6ヶ月から1歳頃までに、母親からもらった免疫が切れるタイミングで、このHHV-6に初感染し、典型的な突発性発疹の症状(高熱とその後の発疹)を経験します。そして、このHHV-6に対する免疫を獲得します。しかし、この時点では、もう一つの原因ウイルスであるHHV-7に対する免疫は持っていません。そのため、HHV-6による初回の突発性発疹を経験した後に、別の機会にHHV-7に初めて感染すると、再び同じような症状、つまり高熱とその後の発疹が現れることがあるのです。これが、「二度目の突発性発疹」の正体です。二度目の突発性発疹は、一度目よりも少し遅く、1歳以降、特に2〜3歳頃にかかることが多いとされています。症状の出方も、一度目と全く同じ場合もあれば、熱だけで発疹が出なかったり、逆に発疹が先に出たりと、非典型的な経過をたどることもあります。頻度としては、二度経験する子供は全体の10%程度、あるいはそれ以下とされており、決して多いわけではありません。しかし、もし一度突発性発疹と診断されたお子さんが、再び同じような症状を繰り返したとしても、「一度かかったから、突発性発疹のはずがない」と決めつけるのは早計です。高熱の原因は他にも様々ありますので、必ず小児科を受診し、医師の診断を仰ぐようにしてください。「突発性発疹は二度かかることもある」。この知識を頭の片隅に置いておくだけで、いざという時に、より冷静に対応できるはずです。