それは、仕事の締め切りが重なっていた一月の火曜日のことでした。午前中は元気にパソコンに向かっていたのですが、午後に入った途端、背筋に嫌な寒気が走り、指先がかすかに震え始めました。一時間後には熱が三十八度五分まで跳ね上がり、節々がバラバラになるような激しい痛み。直感的に「これは普通の風邪ではない、インフルエンザだ」と確信しました。しかし、そこで私は立ち止まってしまいました。何科へ行けばいいのか、そしてどのタイミングで行くのが正解なのか、朦朧とする頭でスマートフォンを握りしめました。以前、友人が「早すぎると検査に反応しない」と言っていたのを思い出し、今すぐ病院へ行くべきか、明日まで耐えるべきか。その葛藤が、病状よりも私を苦しめたのです。結局、私は近所の一般内科に電話を入れました。受付の方は非常に手際よく、「今はまだ熱が出て数時間なので、明日の朝一番に来てください。その方が確実に診断がつきます」とアドバイスをくれました。その一晩は、まさに地獄でした。熱は三十九度を超え、氷枕もすぐに温かくなってしまう。水分を摂るために起き上がるのもやっとの状態で、不安ばかりが募りました。翌朝、指定された時間にクリニックを訪れると、私は発熱患者専用の待機場所へ案内されました。防護服に身を包んだ看護師さんが鼻の奥を細い綿棒でこする検査は一瞬で終わりましたが、その結果を待つ数分間は永遠のように長く感じられました。医師から告げられた診断は「A型インフルエンザ」。その瞬間、不思議なことに安堵感が広がりました。原因が分かり、適切な薬が処方されるという事実だけで、少しだけ回復したような気さえしたのです。処方された吸入薬を使い、自宅で泥のように眠り続けること三日間。四日目の朝には嘘のように熱が下がり、世界の色彩が戻ってきました。今回の経験で痛感したのは、インフルエンザという強敵を前にして、自分一人で判断しようとすることの危うさです。何科に行くべきか迷う時間を、専門家への相談というアクションに変えるだけで、精神的な負担は激減します。また、医師の指示に従って適切なタイミングで受診したことで、一度の検査で確定診断が得られ、体力の消耗を最小限に抑えることができました。仕事に穴を開けてしまうことへの恐怖もありましたが、早く治すことこそが最大の責任なのだと学んだ出来事でした。もし今、あの時の私のように熱いおでこを押さえながら迷っている方がいたら、どうか迷わず、まずは電話一本、内科や発熱外来へ連絡を入れてほしいと思います。プロの助けは、どんなお守りよりも心強いものです。