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庭やベランダが原因?屋外から始まる蟻の大量発生
家の中で蟻が大量発生し、その対策に追われている時、私たちはつい室内の清掃や駆除にばかり目を向けがちです。しかし、多くの場合、その問題の根本的な原因は、家の「外」、つまり庭やベランダの環境に潜んでいます。屋外の発生源を放置したままでは、いくら家の中を綺麗にしても、蟻の侵入は止まりません。庭やベランダが蟻の発生源となる最大の原因の一つが、「アブラムシ」や「カイガラムシ」といった害虫の存在です。これらの害虫は、植物の汁を吸って、お尻から「甘露(かんろ)」と呼ばれる甘い排泄物を出します。この甘露は、蟻にとって極上の蜜であり、大好物です。そのため、庭木やベランダのプランターにアブラムシなどが大量発生すると、それを目当てに蟻が集まってきます。そして、その植物を拠点として、壁を伝ったり、窓の隙間から室内へ侵入してくるのです。また、「植木鉢」や「プランター」そのものが、蟻の巣になっているケースも非常に多いです。鉢の底の穴の周りや、水はけのために敷いた石の下、そして土の中は、雨風をしのげて温度も安定しているため、蟻にとっては格好の営巣場所となります。特に、長年植え替えをしていない鉢は要注意です。ベランダに置かれた植木鉢が蟻の巨大なコロニーになっており、そこからサッシの隙間を通って部屋の中に侵入してくる、というシナリオは非常に典型的です。さらに、ウッドデッキや木の柵、放置された切り株などの「朽ちた木材」も、蟻の巣になりやすい場所です。湿気を含んで柔らかくなった木は、蟻が巣を掘り進めるのに最適です。家の土台の近くにこうした場所があると、そこから床下を通って家の中に侵入してくることもあります。このように、家の中の蟻問題は、実は家の外の環境問題と密接に繋がっています。定期的に庭木の手入れをして害虫を防除する、植木鉢の受け皿に水を溜めない、家の周りに朽ちた木材を放置しないといった、屋外の環境整備こそが、根本的な蟻対策には不可欠なのです。
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その蟻、何者?種類によって違う大量発生の原因と対策
家の中に大量発生した蟻を見て、「蟻は蟻でしょ」と一括りにして考えてはいませんか。しかし、実は日本国内の家屋に侵入する蟻にはいくつかの種類があり、その種類によって好む餌や巣を作る場所、そして効果的な対策も微妙に異なります。敵の正体を知ることが、勝利への近道です。家屋害虫として最も代表的なのが、「イエヒメアリ」です。体長2ミリ程度と非常に小さく、淡い黄色から黄褐色をしています。彼らは砂糖や菓子クズ、油などを好み、キッチンの調味料入れや食品庫に侵入することが多いです。厄介なのは、壁の隙間や家具の内部、さらには電化製品の基盤の周りなど、暖かくて狭い場所に巣を作ることです。一匹見つけたら、見えない場所に巨大なコロニーが形成されている可能性が高い、非常に手強い相手です。次によく見かけるのが、「ルリアリ」や「トビイロケアリ」といった黒くて比較的小さな蟻です。彼らは雑食性で、食べこぼしだけでなく、他の昆虫の死骸なども餌にします。屋外の庭や植木鉢に巣を作ることが多く、そこから窓の隙間などを通って室内に侵入してきます。特にトビイロケアリは、アブラムシが出す甘い排泄物(甘露)が大好物で、庭木やベランダの植物にいるアブラムシを追って、壁を伝って家の中に入ってくることがあります。そして、近年特に問題となっているのが、特定外来生物である「アルゼンチンアリ」です。体長は2.5ミリ程度で茶褐色。非常に攻撃的で繁殖力が強く、既存の蟻を駆逐してしまいます。彼らは環境への適応能力が非常に高く、わずかな隙間からでも大群で屋内に侵入し、食品に群がるだけでなく、家電製品の内部に入り込んで故障の原因になることさえあります。このように、蟻の種類によってその生態は様々です。もし可能であれば、捕獲した蟻をよく観察したり、スマートフォンで撮影したりして、種類を特定してみましょう。相手の好物や習性がわかれば、より効果的な毒餌を選んだり、巣がありそうな場所を重点的に対策したりと、戦略的な駆除が可能になるのです。