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ロタウイルスの家庭内感染を防ぐには
子供の一人がロタウイルスにかかると、その強力な感染力のために、あっという間に兄弟や、看病している親にまで感染が広がり、一家全滅という悲惨な事態に陥ることがあります。この家庭内パンデミックを防ぐためには、ウイルスの特性を理解し、徹底した感染対策を講じることが不可欠です。ロタウイルスは、非常に環境に強く、アルコール消毒が効きにくいという厄介な性質を持っています。感染者の便や嘔吐物には、ほんのわずかな量でも、膨大な数のウイルスが含まれており、これが主な感染源となります。感染経路は、「接触感染」と「糞口感染」です。これを断ち切るための最も重要な対策が、「正しい手洗い」と「次亜塩素酸ナトリウムによる消毒」です。まず、基本中の基本は、おむつ交換の後や、汚れた衣類を処理した後、トイレの後、食事の前など、あらゆる場面での「手洗い」の徹底です。石鹸を十分に泡立て、指の間、爪の間、手首まで、三十秒以上かけて丁寧に洗い、流水でしっかりとすすぎましょう。そして、ロタウイルスに効果的な消毒方法が、「次亜塩素酸ナトリウム」の使用です。市販の塩素系漂白剤(キッチンハイター、ブリーチなど)を、水で薄めて消毒液を作ります。便や嘔吐物が付着した床や、トイレの便座、ドアノブ、おもちゃなど、子供が触れる場所を、この消毒液を浸した布で拭き掃除します。濃度は、汚染の程度に応じて調整します(通常は0.02%、嘔吐物などの処理には0.1%程度)。汚れた衣類やシーツは、まず水で汚物を洗い流した後、この消毒液に三十分ほどつけ置きしてから、他の洗濯物とは分けて洗濯すると、より確実です。嘔吐物を処理する際は、使い捨ての手袋とマスクを着用し、ペーパータオルなどで静かに拭き取り、ビニール袋に入れて密閉して捨てます。その後、汚染された場所を消毒液で拭きましょう。タオルや食器の共用を避けることも大切です。これらの対策は、手間がかかり、看病で疲れている時には大変に感じるかもしれません。しかし、この地道な努力が、家族全員の健康を守るための、最も有効な手段なのです。
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子供のロタウイルス!症状と便の色の変化
冬から春先にかけて、子供たちの間で流行する感染性胃腸炎。その代表的な原因の一つが「ロタウイルス」です。特に、生後六ヶ月から二歳頃の乳幼児が初めて感染すると、非常に激しい症状に見舞われることがあり、親としてはその経過を正しく理解しておくことが大切です。ロタウイルス感染症の症状は、多くの場合、非常に突然に始まります。潜伏期間は一両日ほどで、最初のサインは、前触れもなく噴水のように何度も繰り返す「嘔吐」です。食べたものや飲んだものをすべて吐いてしまい、子供はぐったりとしてしまいます。この激しい嘔吐とほぼ同時に、あるいは少し遅れて、三十八度以上の「高熱」が出ることが多く、体力の消耗はさらに激しくなります。そして、発症から一日か二日経つと、嘔吐は少しずつ落ち着いてくる代わりに、今度は下痢の症状が始まります。この下痢が、ロタウイルスの最大の特徴です。一日に十回以上にも及ぶ、水のようにサラサラとした「水様便」が続きます。そして、この下痢便の色が、他の胃腸炎とは異なる、特徴的な変化を見せるのです。最初は黄色っぽい便ですが、次第に白っぽいクリーム色や、薄い黄色に変わっていきます。この状態は、しばしば「米のとぎ汁のような便」と表現され、ロタウイルス感染症を強く疑う重要なサインとなります。この特徴的な症状は、ウイルスが腸の粘膜にダメージを与え、消化吸収能力が著しく低下するとともに、胆汁の分泌が一時的に悪くなることで起こると考えられています。嘔吐、高熱、そして白い水様便。この三つの典型的な症状を知っておくことで、親は子供の異変に早期に気づき、適切な対応をとることができます。