ロタウイルスには特効薬がなく、その治療は、子供自身の免疫力がウイルスを克服するのをサポートする「対症療法」が中心となります。つまり、家庭でのケアが、子供の回復を左右する最も重要な鍵となるのです。その中心は、「脱水対策」と「おしりのケア」、そして「便の観察」です。まず、最も警戒すべきは「脱水症状」です。激しい嘔吐と下痢によって、体は大量の水分と電解質を失います。これを補うために、こまめな水分補給が不可欠です。しかし、一度にたくさん飲ませると、吐き気を誘発してしまうため、スプーンやスポイトを使い、五分から十分おきに、数ミリリットルずつ、根気よく与えるのがポイントです。与える飲み物は、水やお茶だけでは失われた電解質を補給できないため、「経口補水液」が最も適しています。次に、頻回の下痢によって引き起こされる「おしりかぶれ」のケアです。ロタウイルスの便は酸性度が高く、非常におしりの皮膚を刺激します。おむつを替えるたびに、おしり拭きでゴシゴシ擦るのではなく、ぬるま湯で優しく洗い流してあげましょう。そして、清潔な柔らかいタオルで、押さえるように水分を拭き取り、しっかりと乾かしてから、ワセリンなどの保湿剤で皮膚を保護してあげると、痛みを和らげることができます。そして、看病する上で非常に重要なのが「便の観察」です。おむつを替えるたびに、便の状態をチェックし、記録しておくことをお勧めします。具体的には、「日時」「回数」「便の性状(水様、泥状など)」「色(黄色、白っぽい、緑色など)」「血液が混じっていないか」といった点です。この記録は、再受診する際に、医師が子供の状態を正確に把握するための、非常に貴重な情報となります。特に、便の色が白っぽい状態から、徐々に黄色みを取り戻していく様子は、腸の機能が回復してきている良い兆候です。家庭でのケアは、体力的にも精神的にも大変ですが、子供の小さな変化を見逃さず、丁寧に対応することが、つらい時期を乗り越える力となるのです。
子供のロタウイルス!家庭でのケアと便の観察