風邪をひいてから、もう二週間以上も経つのに、喉の痛みやイガイガとした違和感が、一向に消えない。そんな、長引く喉の痛みに悩まされている方は少なくありません。急性期の激しい痛みとは違う、この慢性的な不快感の裏には、単なる風邪のなごりではない、別の原因が隠れている可能性があります。まず、長引く喉の痛みの原因として、近年非常に増えているのが「逆流性食道炎」です。これは、胃の中で食べ物を消化するために分泌される、強い酸性の胃酸が、食道へと逆流してしまう病気です。胃酸が食道の粘膜を傷つけることで、胸やけや、酸っぱいものが上がってくる感じ(呑酸)といった症状が起こりますが、この胃酸が、さらに喉の奥(咽頭・喉頭)まで達すると、喉の粘膜にも炎症を引き起こします。その結果、「喉のヒリヒリとした痛み」「常にイガイガする感じ」「咳払いをしたくなる」「声がかすれる」といった、慢性的な症状が現れるのです。特に、朝起きた時に症状が強い場合は、夜、横になっている間に胃酸が逆流している可能性が考えられます。この場合、専門となるのは「消化器内科」です。また、「アレルギー」が原因で、喉の痛みが長引くこともあります。スギやヒノキといった花粉、あるいはハウスダストやダニなどが、喉の粘膜にアレルギー反応を引き起こし、慢性的な炎症の原因となるのです。鼻水や鼻づまり、目のかゆみといった症状を伴うことが多いですが、喉の症状だけが目立つ場合もあります。この場合は、「耳鼻咽喉科」や「アレルギー科」で、アレルギーの原因を特定するための検査を受け、適切な抗アレルギー薬による治療を受けることが有効です。その他にも、空気の乾燥や、喫煙、声の使いすぎによる「慢性咽頭炎」、あるいは、非常に稀ではありますが、「咽頭がん」や「喉頭がん」といった悪性腫瘍が、治りにくい喉の痛みの原因となっていることもあります。もし、あなたの喉の痛みが二週間以上も続くようであれば、自己判断で放置せず、まずは耳鼻咽喉科を受診し、専門家による正確な診断を仰ぐことが重要です。