蟻の姿は一年中見かけるわけではなく、決まって特定の季節に大量発生して私たちを悩ませます。その背景には、蟻の生態と季節の移り変わりが密接に関係しています。季節ごとの蟻の活動を知ることで、なぜ梅雨から夏にかけてが最も危険なシーズンなのかが理解できます。まず、全ての始まりは「春」です。冬眠から目覚めた女王蟻が活動を開始し、新しい巣を作るために一匹で飛び立ちます。この時期、家の中やその周辺で見かける単独の蟻は、巣作りの場所を探す偵察役である可能性が高いです。この偵察蟻に「ここは住みやすい」と判断されてしまうと、夏の大量発生の引き金を引くことになります。そして、季節は「梅雨」へと移ります。この時期に蟻の侵入が増える原因の一つは、雨を避けるためです。屋外の地中に巣を作っていた蟻たちが、巣の浸水を避けて、安全で乾燥した場所を求めて家の中に避難してくるのです。また、湿度が高くなることで、蟻の活動自体が活発になるという側面もあります。さらに、蟻が仲間を呼ぶために使う「道しるべフェロモン」は、湿度が高いと蒸発しにくくなるため、一度できた行列が消えにくくなり、より多くの仲間を呼び寄せてしまうのです。そして、蟻の活動がピークに達するのが「夏」です。気温が上昇すると、蟻は最も活発に動き回るようになります。餌探しに奔走するだけでなく、繁殖のスピードも一気に加速します。巣の中では次々と新しい働き蟻が生まれ、コロニーは急速に拡大していきます。そのため、春や梅雨の時期に侵入した少数の蟻が、夏には手に負えないほどの大群へと膨れ上がってしまうのです。秋になると活動は徐々に鈍化し、冬には多くの蟻が冬眠に入りますが、暖房の効いた暖かい家の中では、冬でも活動を続けることがあります。このように、蟻の大量発生は季節と深く連動しています。特に、活動が活発化し始める春から梅雨にかけて、いかに予防策を徹底できるかが、夏の悪夢を防ぐための重要な鍵となるのです。
梅雨から夏は要注意!季節が招く蟻の大量発生