ここ数ヶ月、私は食後の胃痛に悩まされていました。食事をすると、決まって1時間後くらいに、みぞおちのあたりがシクシクと痛み出すのです。最初は「食べ過ぎかな」くらいに軽く考えていましたが、痛みの頻度は日に日に増し、空腹時にもキリキリとした痛みを感じるようになりました。市販の胃薬を飲んでごまかしていましたが、根本的な解決にはならず、次第に食事をすること自体が怖くなってきました。このままではいけない。そう思い、私は意を決して、近所の消化器内科クリニックを受診することにしました。診察室で症状を話すと、医師は「一度、胃の中を直接見てみましょうか。胃カメラの検査をお勧めします」と言いました。「胃カメラ」という言葉に、私は一瞬、恐怖を感じました。痛い、苦しいという噂をよく聞いていたからです。しかし、この原因不明の痛みから解放されたいという思いの方が強く、私は検査を受けることを決意しました。検査当日、私は医師の指示に従い、まず喉の麻酔を行いました。ゼリー状の麻酔薬を喉にしばらく溜めてから、スプレーで追加の麻酔をします。その後、鎮静剤の注射を腕に打ってもらうと、意識がだんだんとぼんやりしてきました。ベッドに横になり、マウスピースをくわえると、いよいよカメラが口から挿入されます。「少しずつ入りますよ」という看護師さんの声が遠くに聞こえ、喉を通過する時に少し「オエッ」となりましたが、鎮静剤のおかげで、想像していたような強い苦痛はありませんでした。ぼんやりとした意識の中で、モニターに映し出される自分の胃の内部を、どこか他人事のように眺めていました。検査は10分ほどで終了しました。しばらくリカバリールームで休んだ後、再び診察室へ。医師は、モニターの画像を見せながら、「胃の出口近くの十二指腸に、潰瘍ができていますね。これが痛みの原因です」と説明してくれました。そして、潰瘍の大きな原因であるピロリ菌の検査も行い、陽性であることが判明しました。原因がはっきりと分かったことで、私の心は不思議と軽くなりました。その後、胃酸を抑える薬と、ピロリ菌を除菌する薬を処方され、治療を開始しました。薬を飲み始めると、あれほど私を悩ませていた胃痛は、数日で嘘のように消えていきました。