風邪のひきはじめや季節の変わり目に、多くの人が経験する「喉の痛み」。たかが喉の痛みと侮っていると、食事が摂れなくなったり、仕事に集中できなくなったりと、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。そんな時、いざ病院へ行こうと思っても、「内科と耳鼻咽喉科、どっちへ行けば良いのだろう?」と迷ってしまう方は少なくありません。この二つの診療科は、どちらも喉の痛みを診てくれますが、それぞれに得意とする分野やアプローチが異なります。自分の症状に合わせて適切な科を選ぶことが、スムーズな回復への鍵となります。まず、「耳鼻咽喉科」は、その名の通り、耳・鼻・喉の専門家です。喉の痛みそのものが主たる症状で、特に「唾を飲み込むのもつらいほどの激痛」「声がかすれる、声が出ない」「喉に何かが詰まっているような違和感がある」といった、喉に特化した症状が強い場合には、耳鼻咽喉科が最も適しています。専門的な器具(ファイバースコープなど)を使って、喉の奥の状態を直接、詳細に観察することができ、扁桃炎や咽頭炎、声帯炎といった病気を的確に診断してくれます。また、炎症を抑える薬を直接患部に塗布したり、吸入治療(ネブライザー)を行ったりと、専門的な処置が受けられるのも大きなメリットです。一方、「内科」は、体全体の不調を総合的に診断する専門家です。喉の痛みだけでなく、「高熱や悪寒、関節痛がある」「咳や痰、鼻水がひどい」「全身がだるい」といった、いわゆる風邪症状が全身に現れている場合には、内科を受診するのが良いでしょう。喉の痛みを、インフルエンザや全身性のウイルス感染症といった、体全体の病気の一症状として捉え、総合的な観点から治療方針を立ててくれます。もし、どちらに行くべきか迷う場合は、「喉の症状がメインなら耳鼻咽喉科」「全身症状がメインなら内科」と考えると分かりやすいかもしれません。あるいは、普段から自分の体調をよく知ってくれている、かかりつけの内科医にまず相談し、必要であれば専門の耳鼻咽喉科を紹介してもらうという方法も、非常に賢明な選択と言えるでしょう。