先週の火曜日、それは悪夢のように突然始まりました。保育園から帰ってきた二歳の息子が、夕食後に突然、床に噴水のような嘔吐をしたのです。一度だけかと思いきや、その後も三十分おきに嘔吐を繰り返し、水分を与えてもすぐに吐いてしまいます。熱を測ると三十九度。ぐったりと横たわる息子の姿に、私はパニックになりそうでした。夜間救急へ駆け込むと、医師は「おそらく胃腸炎でしょう」と、吐き気止めの座薬を処方してくれました。しかし、翌日になっても嘔吐と高熱は続きました。そして、その日の午後から、今度は下痢が始まったのです。それは、今まで見たことのないような、水そのもののような下痢でした。おむつを替えても替えても、すぐにシャーっと音を立てて出てしまいます。そして、三日目の朝。おむつを開けた私は、思わず息を飲みました。そこにあったのは、まるで白い絵の具を溶かしたような、真っ白な便だったのです。知識としては知っていましたが、実際に目の当たりにすると、その異様さに背筋が凍る思いでした。すぐにかかりつけの小児科へ連れて行くと、便の様子から「間違いなくロタウイルスでしょう」と診断されました。医師からは、特効薬はないこと、そして何よりも脱水症状に気をつけることを、強く指導されました。その日から、私と息子の、本当の闘いが始まりました。息子は口の中も乾き、ぐったりとしていますが、経口補水液を飲ませようとしても、一口で嫌がってしまいます。スプーンで一滴ずつ、スポイトで数滴ずつ。まさに、一進一退の攻防でした。白い下痢は、四日目、五日目と続きました。おむつかぶれもひどくなり、おしりを拭くたびに泣き叫ぶ息子の姿を見るのは、本当に胸が張り裂けそうでした。しかし、六日目の朝。おむつの中に、ほんの少しだけ黄色みがかった便が出ているのを見つけた時、私は暗いトンネルの先に、ようやく小さな光を見た気がしました。そこから息子は少しずつ回復し、十日後には、すっかり元の元気な姿に戻ってくれました。あの白い便は、息子の体がウイルスと激しく戦っている、紛れもない証だったのです。
我が子のロタウイルス闘病記と白い便