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発熱や咳を伴う喉の痛みはまず内科へ
喉のイガイガとした痛みとともに、悪寒が走り、体温計が三十八度を超えた。咳も出始め、体中の節々が痛くてだるい。このような、喉の痛みだけでなく、様々な全身症状が同時に現れている場合、その原因は喉の局所的な問題にとどまらない可能性が高いです。こうしたケースでは、喉の専門家である耳鼻咽喉科よりも、まず「内科」を受診するのが適切な選択と言えます。内科医は、体全体の健康状態を総合的に診るプロフェッショナルです。喉の痛みを、単独の症状としてではなく、体全体で起きている病気の一部分として捉え、その根本原因を探ってくれます。例えば、高熱や関節痛、強い倦怠感を伴う場合、その正体はインフルエンザかもしれません。インフルエンザは、喉だけでなく、気管支や肺、そして全身の筋肉や関節に影響を及ぼす全身性のウイルス感染症です。内科では、迅速検査キットを用いてその場でインフルエンザの診断を下し、必要であれば抗インフルエンザ薬を処方するなど、病気の全体像に基づいた治療を行います。また、アデノウイルスやRSウイルスなど、様々なウイルス感染症も、発熱や咳、そして喉の痛みを同時に引き起こします。内科では、これらの感染症の可能性を念頭に置き、問診や聴診を通じて、喉だけでなく、胸の音は正常か、リンパ節は腫れていないかなど、全身の状態をくまなくチェックします。喉の痛みに対する痛み止めや、咳や痰を和らげる薬など、つらい症状を緩和するための対症療法も、もちろん処方してくれます。そして、もし診察の結果、喉の炎症が特にひどく、扁桃炎などが強く疑われる場合には、「まずは内科で全身の状態を整えつつ、喉の専門的な処置のために耳鼻咽喉科も受診してください」といったように、他の専門科との連携をスムーズに行ってくれるのも、内科を受診する大きなメリットです。いわば、医療の総合案内所のような役割を果たしてくれるのです。喉の痛みとともに、体が「全体的に不調だ」と感じたら、まずはかかりつけの内科医に相談し、適切な診断と治療への第一歩を踏み出しましょう。
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我が子のロタウイルス闘病記と白い便
先週の火曜日、それは悪夢のように突然始まりました。保育園から帰ってきた二歳の息子が、夕食後に突然、床に噴水のような嘔吐をしたのです。一度だけかと思いきや、その後も三十分おきに嘔吐を繰り返し、水分を与えてもすぐに吐いてしまいます。熱を測ると三十九度。ぐったりと横たわる息子の姿に、私はパニックになりそうでした。夜間救急へ駆け込むと、医師は「おそらく胃腸炎でしょう」と、吐き気止めの座薬を処方してくれました。しかし、翌日になっても嘔吐と高熱は続きました。そして、その日の午後から、今度は下痢が始まったのです。それは、今まで見たことのないような、水そのもののような下痢でした。おむつを替えても替えても、すぐにシャーっと音を立てて出てしまいます。そして、三日目の朝。おむつを開けた私は、思わず息を飲みました。そこにあったのは、まるで白い絵の具を溶かしたような、真っ白な便だったのです。知識としては知っていましたが、実際に目の当たりにすると、その異様さに背筋が凍る思いでした。すぐにかかりつけの小児科へ連れて行くと、便の様子から「間違いなくロタウイルスでしょう」と診断されました。医師からは、特効薬はないこと、そして何よりも脱水症状に気をつけることを、強く指導されました。その日から、私と息子の、本当の闘いが始まりました。息子は口の中も乾き、ぐったりとしていますが、経口補水液を飲ませようとしても、一口で嫌がってしまいます。スプーンで一滴ずつ、スポイトで数滴ずつ。まさに、一進一退の攻防でした。白い下痢は、四日目、五日目と続きました。おむつかぶれもひどくなり、おしりを拭くたびに泣き叫ぶ息子の姿を見るのは、本当に胸が張り裂けそうでした。しかし、六日目の朝。おむつの中に、ほんの少しだけ黄色みがかった便が出ているのを見つけた時、私は暗いトンネルの先に、ようやく小さな光を見た気がしました。そこから息子は少しずつ回復し、十日後には、すっかり元の元気な姿に戻ってくれました。あの白い便は、息子の体がウイルスと激しく戦っている、紛れもない証だったのです。
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喉が痛い時は何科へ行けばいいの?
風邪のひきはじめや季節の変わり目に、多くの人が経験する「喉の痛み」。たかが喉の痛みと侮っていると、食事が摂れなくなったり、仕事に集中できなくなったりと、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。そんな時、いざ病院へ行こうと思っても、「内科と耳鼻咽喉科、どっちへ行けば良いのだろう?」と迷ってしまう方は少なくありません。この二つの診療科は、どちらも喉の痛みを診てくれますが、それぞれに得意とする分野やアプローチが異なります。自分の症状に合わせて適切な科を選ぶことが、スムーズな回復への鍵となります。まず、「耳鼻咽喉科」は、その名の通り、耳・鼻・喉の専門家です。喉の痛みそのものが主たる症状で、特に「唾を飲み込むのもつらいほどの激痛」「声がかすれる、声が出ない」「喉に何かが詰まっているような違和感がある」といった、喉に特化した症状が強い場合には、耳鼻咽喉科が最も適しています。専門的な器具(ファイバースコープなど)を使って、喉の奥の状態を直接、詳細に観察することができ、扁桃炎や咽頭炎、声帯炎といった病気を的確に診断してくれます。また、炎症を抑える薬を直接患部に塗布したり、吸入治療(ネブライザー)を行ったりと、専門的な処置が受けられるのも大きなメリットです。一方、「内科」は、体全体の不調を総合的に診断する専門家です。喉の痛みだけでなく、「高熱や悪寒、関節痛がある」「咳や痰、鼻水がひどい」「全身がだるい」といった、いわゆる風邪症状が全身に現れている場合には、内科を受診するのが良いでしょう。喉の痛みを、インフルエンザや全身性のウイルス感染症といった、体全体の病気の一症状として捉え、総合的な観点から治療方針を立ててくれます。もし、どちらに行くべきか迷う場合は、「喉の症状がメインなら耳鼻咽喉科」「全身症状がメインなら内科」と考えると分かりやすいかもしれません。あるいは、普段から自分の体調をよく知ってくれている、かかりつけの内科医にまず相談し、必要であれば専門の耳鼻咽喉科を紹介してもらうという方法も、非常に賢明な選択と言えるでしょう。
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私が喉の痛みで耳鼻咽喉科を選んだ話
それは、季節の変わり目の、よくある風邪から始まりました。最初は、軽い喉のイガイガと鼻水。市販の風邪薬を飲んでいれば、二、三日で治るだろうと高をくくっていました。しかし、その予想は大きく外れました。熱や鼻水は治まったものの、喉の痛みだけが、日に日に悪化していったのです。四日目の朝、私はベッドの上で、自分の喉に起きた異変に気づきました。唾を飲み込むたびに、まるでガラスの破片でも飲み込んでいるかのような、鋭い痛みが走るのです。痛みで、朝食のパンを飲み込むこともできません。声も、まるで別人のようにガラガラにかすれていました。これは、ただの風邪のなごりではない。そう直感した私は、内科ではなく、喉の専門家である耳鼻咽喉科へ行くことを決意しました。クリニックの待合室で待っている間も、唾を飲み込むのが怖くて、口の中に溜まった唾をティッシュに出すほどでした。診察室に呼ばれ、恐る恐る口を開けると、医師は「ああ、これはひどいね」と一言。そして、鼻から細いカメラ(ファイバースコープ)を入れ、喉の奥の状態をモニターに映し出してくれました。そこに映っていたのは、真っ赤に腫れ上がり、白い膿が点々と付着した、痛々しい私の扁桃腺でした。診断は「急性扁桃炎」。原因は細菌感染だろうとのことでした。その場で、喉に直接、殺菌薬を塗ってもらい、抗生物質と痛み止めを処方されました。そして、霧状の薬を吸入するネブライザー治療も受けました。クリニックを出る頃には、あれほどひどかった痛みが、少しだけ和らいでいるのを感じました。その日の夜から抗生物質を飲み始めると、翌朝には、痛みが劇的に軽くなっていることに驚きました。三日も経つ頃には、普通に食事ができるようになり、一週間後には、すっかり元の声を取り戻すことができました。あの時、自己判断で我慢し続けず、耳鼻咽喉科という専門の扉を叩いて、本当に良かったと思います。たかが喉の痛みと侮ることが、いかに危険かを、私はこの経験から学びました。