まぶたが少し赤い、軽い痛みがある。ものもらいになりかけの時、「病院へ行くほどでもないかな」「自分で何とか治せないだろうか」と考える方もいるでしょう。ごく初期の軽い症状であれば、家庭での適切なセルフケアによって、悪化させずに治癒へと導くことができる場合もあります。しかし、その方法を間違えると、かえって症状を悪化させてしまう危険性もあるため、正しい知識を持っておくことが重要です。まず、家庭でできる最も大切なケアは、「まぶたを清潔に保ち、触らない」ことです。ものもらいの原因は細菌感染です。汚れた手でまぶたをこすったり、触ったりすることは、さらに細菌を繁殖させ、炎症を悪化させる原因となります。かゆみや異物感があっても、絶対に触らないように意識しましょう。次に、体の抵抗力を高め、回復を助けるために、「十分な休息と栄養」を心がけることです。ものもらいは、疲れやストレスで免疫力が低下している時にできやすい病気です。睡眠時間をしっかりと確保し、リラックスして過ごすようにしましょう。バランスの取れた食事を摂ることも、体の回復力をサポートします。特に女性の場合、症状が出ている間は「アイメイクを控える」ことが鉄則です。アイシャドウやアイライナー、マスカラなどが、感染した分泌腺を塞いだり、刺激を与えたりして、症状を悪化させる可能性があります。また、コンタクトレンズの使用も、症状が治まるまでは中止し、メガネで過ごすようにしましょう。レンズが細菌の温床となったり、まぶたへの刺激となったりするからです。市販の抗菌目薬を使用するという選択肢もありますが、薬局の薬剤師に相談し、ものもらい(麦粒腫)に適したものであることを確認してから使用してください。ただし、これらのセルフケアを行っても、2〜3日経っても症状が改善しない、あるいは痛みや腫れがひどくなる、膿が出てきたといった場合は、迷わず「眼科」を受診してください。自己判断で放置すると、炎症が周囲に広がったり、しこりが残ったりする可能性があります。家庭でのケアは、あくまで初期対応と割り切り、症状の悪化が見られたら、速やかに専門医の診断を仰ぐことが、最も安全で確実な治癒への道です。
ものもらい、自分で治せる?家庭での正しいケア