頬がまるでりんごのように真っ赤に染まることから、その愛らしい名前で知られている「りんご病」。正式名称を「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」と言い、その名の通り、人から人へとうつるウイルス性の感染症です。原因となるのは、「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスです。りんご病は、主に子供たちの間で流行しますが、大人も感染することがあります。では、このりんご病は、どのようにしてうつるのでしょうか。その主な感染経路は二つあります。一つは、「飛沫感染」です。これは、感染している人の咳やくしゃみ、会話などで飛び散る、ウイルスを含んだしぶき(飛沫)を、周囲の人が鼻や口から吸い込んでしまうことで感染する経路です。学校や保育園、家庭内といった、人が密集する環境で感染が広がりやすいのは、このためです。もう一つの感染経路が、「接触感染」です。ウイルスが付着した手で、自分の口や鼻、目などを触ることによって感染します。例えば、感染者が咳を手で押さえ、その手で触れたドアノブやおもちゃなどを、別の人が触り、さらにその手で自分の顔を触る、といった流れで感染が成立します。したがって、りんご病の流行期には、基本的な感染対策である「手洗い」や「うがい」を徹底することが、感染予防において非常に重要になります。また、輸血による血液を介した感染や、母親から胎児への垂直感染(母子感染)も稀に報告されていますが、日常生活における主な感染経路は、この飛沫感染と接触感染です。りんご病の感染の仕組みを正しく理解し、適切な予防策を講じることが、自分自身と、そして周囲の人々を感染から守るための第一歩となるのです。