夏の不調である夏バテ。その症状として吐き気が続く場合、「これは病院へ行くべきなのだろうか」「もし行くなら、何科が良いのだろう」と悩む方もいるでしょう。ほとんどの夏バテは、セルフケアで改善が期待できますが、症状が長引いたり、日常生活に支障をきたしたりする場合には、医療機関を受診することも大切です。まず、病院へ行くべきかどうかの目安ですが、「水分さえも受け付けない、あるいは飲んでもすぐに吐いてしまう」場合は、脱水症状が進行する危険があるため、早めに受診すべきです。また、「吐き気だけでなく、激しい頭痛やめまい、高熱などを伴う」場合も、夏バテ以外の病気(熱中症や感染性胃腸炎など)の可能性があるため、専門家の診断を仰ぐのが賢明です。さらに、「セルフケアを1〜2週間続けても、全く症状が改善しない」場合も、一度、医師に相談してみると良いでしょう。では、何科を受診すれば良いのでしょうか。夏バテによる吐き気や食欲不振といった胃腸症状で相談する場合、最も適しているのは「内科」あるいは「消化器内科(胃腸科)」です。これらの科では、まず問診と診察を行い、症状が本当に夏バテによるものなのか、あるいは胃潰瘍や逆流性食道炎といった、他の消化器系の病気が隠れていないかを判断してくれます。特に、吐き気の症状が強い場合には、胃の働きを整える薬や、吐き気止めの薬を処方してもらうことで、つらい症状を和らげ、食事や水分が摂れるようになるきっかけを作ることができます。また、脱水が進んでいると判断された場合には、点滴による水分・栄養補給を行ってくれることもあります。これは、弱った体にとって、非常に効果的な回復促進剤となります。さらに、症状の背景に、精神的なストレスや気分の落ち込みが強く関わっていると感じる場合は、「心療内科」に相談するという選択肢もあります。夏バテの症状は、時に「夏うつ」とも呼ばれる、季節性のうつ病状と重なることがあるからです。たかが夏バテと我慢しすぎず、つらい症状が続く場合は、専門家の力を借りることも、元気に夏を乗り切るための賢い方法の一つです。