子供は、活発に動き回る一方で、体のバランスをとる能力が未熟なため、転んだり、どこかにぶつかったりして、頭を打つことが日常茶飯事です。ほとんどの場合は、大泣きした後にケロッとして、たんこぶができる程度で済みますが、時には病院での診察が必要なケースもあります。その時、親として悩むのが、「小児科と脳神経外科、どちらに連れて行くべきか」という問題です。この二つの科の選び分けには、いくつかのポイントがあります。まず、最初に相談する窓口として最も適しているのは、かかりつけの「小児科」です。小児科医は、子供の成長・発達と、それに伴う病気や怪我の専門家です。子供の頭部外傷に特有の症状や、年齢に応じた注意点を熟知しています。例えば、まだ言葉を話せない乳幼児の場合、機嫌が悪い、顔色が悪い、母乳やミルクの飲みが悪いといった、普段との様子の違いが、頭部外傷の重要なサインとなることがあります。小児科医は、こうした些細な変化を敏感に察知し、専門的な診察が必要かどうかを的確に判断してくれます。打撲の状況が比較的軽く、意識もはっきりしていて、嘔吐もないようなケースであれば、小児科で診察を受け、家庭での観察のポイントについて指導してもらうだけで十分な場合がほとんどです。一方で、「脳神経外科」の受診を急ぐべき場合もあります。それは、明らかに重篤な症状が見られる時です。具体的には、「頭を打った後、意識を失った」「何度も嘔吐を繰り返す」「けいれんを起こした」「手足の動きがおかしい」「頭蓋骨に明らかな陥没や、大量の出血がある」といった場合です。このような状況では、脳内の出血や損傷を早急に評価する必要があるため、CTスキャンなどの設備が整っている脳神経外科のある総合病院や救急病院へ、直接向かうのが賢明です。判断に迷う場合は、まずはかかりつけの小児科に電話で相談し、指示を仰ぐのが良いでしょう。あるいは、夜間や休日であれば、小児救急電話相談(#8000)などを利用して、専門家の助言を求めるのも有効な手段です。親の冷静な判断と、適切な医療機関の選択が、大切なお子様を守ることに繋がります。