ヘルパンギーナの最もつらい症状は、高熱と、喉や舌にできた水ぶくれや口内炎による強い痛みです。この痛みは、食事や水分を摂ることを困難にし、特に小さな子供では、脱水症状を引き起こす危険性があるため、家庭でのケアが非常に重要になります。では、舌が痛くて食事が進まない時、どのようなものを選び、どうやって与えれば良いのでしょうか。まず、大原則は「喉ごしが良く、しみないもの」を選ぶことです。熱いもの、酸っぱいもの、味の濃いもの、塩辛いものは、口内炎にしみて激しい痛みを引き起こすため、絶対に避けなければなりません。オレンジジュースなどの柑橘系のジュースや、トマトソースを使った料理、醤油味の強いものなどはNGです。また、おせんべいやクッキー、パンの耳といった硬い食べ物も、口の中を傷つけてしまうため避けましょう。おすすめは、人肌程度に冷ました、柔らかくてつるんとした食感のものです。例えば、冷たいお粥や、よく煮込んで冷ましたうどん、豆腐、茶碗蒸し、かぼちゃやじゃがいものポタージュスープなどが挙げられます。プリンやゼリー、ヨーグルト、バニラアイスクリームなども、冷たくて喉ごしが良いため、子供が喜んで食べてくれることが多いでしょう。これらは栄養価も高く、エネルギー補給にもなります。食事の形態も工夫が必要です。食べ物はできるだけ細かく刻んだり、ミキサーにかけたりして、噛まずに飲み込めるような状態にしてあげると、痛みが和らぎます。食事以上に大切なのが、「水分補給」です。脱水を防ぐために、こまめな水分摂取を心がけましょう。ただし、ここでも酸味の強いジュースは避けます。麦茶や湯冷まし、あるいは子供用のイオン飲料(経口補水液)などが最適です。一度にたくさん飲ませようとせず、スプーンやストローを使って、少量ずつ、根気よく与えることがポイントです。ヘルパンギーナの時の食事は、栄養を摂ることよりも、まず「脱水を防ぐこと」「痛みを最小限に抑えること」を最優先に考えます。数日間、食事が十分に摂れなくても、水分さえしっかり補給できていれば、大きな問題はありません。焦らず、子供が口にできるものを探しながら、つらい時期を乗り越えていきましょう。