日常生活の中で、ドアの角に頭をぶつけたり、転んで地面に頭を打ち付けたりと、思わぬアクシデントで頭を強打してしまうことは誰にでも起こり得ます。その瞬間は痛くても、たんこぶができただけで、特に変わった様子がなければ「大丈夫だろう」と自己判断してしまいがちです。しかし、頭部の打撲は、外見からは分からない頭蓋骨の内部で、深刻な事態を引き起こしている可能性もゼロではありません。いざ、病院へ行こうと考えた時、多くの人が「何科を受診すれば良いのか」と迷うことでしょう。このような頭部打撲(頭部外傷)を専門的に診療する中心的な科は、「脳神経外科」です。脳神経外科は、脳や脊髄、末梢神経の病気のうち、主に手術による治療が必要な疾患を専門とするエキスパートです。頭をぶつけた際に最も怖いのは、頭蓋骨の内部で出血が起こる「頭蓋内出血」です。脳神経外科では、CTスキャンなどの画像検査を迅速に行い、脳に出血や損傷がないかを正確に診断します。もし、緊急手術が必要な血腫(血の塊)が見つかった場合には、そのまま速やかに対応することが可能です。では、脳神経外科が近くにない場合はどうすれば良いでしょうか。その場合は、「外科」や「整形外科」でも初期対応は可能です。これらの科でも、頭部のレントゲン検査や、状態によってはCT検査の依頼などを行い、骨折の有無や明らかな出血がないかを確認してくれます。そして、専門的な治療が必要と判断されれば、速やかに脳神経外科のある病院へ紹介してくれます。また、小さな子供が頭をぶつけた場合は、まずかかりつけの「小児科」に相談するのも良いでしょう。小児科医は、子供の頭部外傷に特有の症状や注意点を熟知しており、専門医の診察が必要かどうかを的確に判断してくれます。大切なのは、自己判断で様子を見過ぎないことです。特に、意識の状態がおかしい、嘔吐を繰り返すといった危険なサインがある場合は、ためらわずに救急外来を受診するか、救急車を呼ぶ必要があります。
頭をぶつけた時、何科へ行くべき?