毎年、夏になると決まって体調を崩し、吐き気やだるさに悩まされる。そんな方は、本格的な夏が来る前から、あるいは不調を感じ始めた初期段階から、意識的に「夏バテ予防」に取り組むことが非常に重要です。夏バテは、日々の生活習慣を少し見直すだけで、その症状を未然に防いだり、軽くしたりすることが可能です。まず、最も基本となるのが「食生活」です。バランスの取れた食事を、一日三食、規則正しく摂ることが、夏を乗り切るための体の土台を作ります。特に、汗と共に失われがちなビタミンB群(豚肉、うなぎ、豆類など)や、ミネラル(海藻類など)、そして疲労回復効果のあるクエン酸(梅干し、レモン、お酢など)を、積極的に食事に取り入れましょう。食欲がない時でも、香味野菜や香辛料を上手に使って、食事を楽しむ工夫をすることが大切です。次に重要なのが、「自律神経のバランスを整える」ことです。屋外と室内の急激な温度差は、自律神経を疲弊させる最大の原因です。冷房の設定温度は、外気温との差が5度以内になるように心がけ、直接、冷風が体に当たらないようにしましょう。また、夜はシャワーだけで済ませず、38〜40度程度のぬるめのお湯にゆっくりと浸かることをお勧めします。これにより、副交感神経が優位になり、リラックス効果と安眠効果が得られます。質の良い睡眠は、日中に受けたダメージを修復し、自律神経のバランスをリセットするために不可欠です。そして、何よりも忘れてはならないのが、「こまめな水分補給」です。喉が渇いたと感じる前に、意識的に水分を摂る習慣をつけましょう。一度にがぶ飲みするのではなく、コップ一杯程度の量を、1〜2時間おきに飲むのが効果的です。水やお茶だけでなく、スポーツドリンクや経口補水液を上手に利用して、汗で失われたミネラル分も一緒に補給することが、夏バテ予防と熱中症対策の両方に繋がります。これらの予防法は、特別なことではありません。しかし、こうした日々の地道な積み重ねこそが、夏の過酷な環境からあなたの体を守り、吐き気などのつらい症状を未然に防ぐための、最も確実な方法なのです。