ヘルパンギーナにかかり、子供の舌に痛々しい水ぶくれや口内炎ができてしまうと、親としては「このつらい症状は、一体いつまで続くのだろう」と、心配でたまらない気持ちになるでしょう。ヘルパンギーナの症状の経過を知っておくことは、先の見通しを立て、落ち着いて子供のケアにあたるために役立ちます。ヘルパンギーナは、原因となるウイルスに感染してから、おおよそ2〜4日の潜伏期間を経て、突然の発熱で発症します。そして、発熱とほぼ同時に、喉の奥や舌に赤い発疹が現れ、それがすぐに小さな水ぶくれ(水疱)へと変化していきます。この、発症から2〜3日目が、発熱と口の中の痛みのピークとなることが一般的です。舌にできた水ぶくれも、この時期に最も痛みが強くなります。この痛みのピークを過ぎると、水ぶくれは自然に破れて、浅い潰瘍、つまり白い口内炎(アフタ)になります。水ぶくれが破れると、中のウイルスが排出されるため、痛みは少しずつ和らいでいく傾向にあります。そして、この口内炎も、発症から大体1週間程度で、痕を残すことなく自然に治癒していきます。熱も、通常は2〜3日で解熱することがほとんどです。つまり、舌のブツブツや痛みが完全に治まるまでの期間は、個人差はありますが、おおよそ1週間が目安となります。ただし、注意が必要なのは、症状が治まった後も、ウイルスはしばらくの間、体外に排出され続けるという点です。特に、便の中には、数週間にわたってウイルスが排出されることが知られています。そのため、回復後も、おむつ交換の際の手洗いや、トイレの後の手洗いを徹底することが、家族内での感染を防ぐために非常に重要です。ヘルパンギーナには特効薬はなく、治療はあくまで症状を和らげる対症療法が中心となります。つらい症状のピークは2〜3日であり、1週間ほどで必ず良くなっていく、という経過を知っておくことで、保護者の方も少しだけ落ち着いた気持ちで、お子様の看病に臨めるのではないでしょうか。