夏の暑さで胃腸が弱り、吐き気やむかつきを感じる時、食事を摂ること自体が苦痛に感じられるかもしれません。しかし、何も食べずにいると、体力はますます低下し、夏バテからの回復が遅れてしまいます。こんな時こそ、胃腸に負担をかけず、効率よく栄養を補給するための「食事の工夫」が非常に重要になります。まず、大原則は「消化が良く、胃に優しいもの」を選ぶことです。脂肪分の多い揚げ物や、香辛料を多用した刺激の強い料理は、弱った胃腸にさらなる追い打ちをかけてしまうため、絶対に避けましょう。おすすめは、おかゆや雑炊、よく煮込んだうどん、冷奴、茶碗蒸しなどです。これらは、温かいものでも冷たいものでも、人肌程度の温度で食べるのがポイントです。熱すぎたり、冷たすぎたりするものは、胃腸への刺激となります。食欲がない時は、無理に固形物を摂ろうとせず、まずは栄養価の高いスープから試してみるのも良いでしょう。かぼちゃやじゃがいも、にんじんなどを煮込んでミキサーにかけた、冷製のポタージュスープなどは、ビタミンも補給できて一石二鳥です。また、胃酸の分泌を整え、消化を助ける効果が期待できる食材を、上手に取り入れるのも効果的です。例えば、大根おろしには消化酵素が豊富に含まれており、梅干しに含まれるクエン酸は、唾液や胃酸の分泌を促し、食欲を増進させてくれます。しそやミョウガ、ショウガといった香味野菜も、そのさわやかな香りで食欲を刺激し、胃腸の働きを整える効果が期待できます。食事の摂り方にも工夫が必要です。一度にたくさん食べようとせず、少量ずつ、何回かに分けて食べる「分食」を心がけましょう。これにより、胃腸への負担を軽減することができます。そして、何よりも大切なのが「水分補給」です。吐き気がある時は、脱水状態に陥りやすいため、こまめに水分を摂ることを忘れないでください。夏バテで吐き気がある時の食事は、「何を食べるか」だけでなく、「どう食べるか」も重要です。胃腸をいたわりながら、少しずつエネルギーを補給していくことが、つらい症状からの回復への近道となります。
夏バテの吐き気を和らげる食事の工夫