一か月以上も咳が続いている。市販の薬も効かない。このような状況になった時、多くの人が直面するのが「どの診療科へ行けば良いのか」という問題です。咳の原因は多岐にわたるため、原因に応じた適切な専門家を選ぶことが、効果的な治療への最短ルートとなります。ここでは、長引く咳で受診すべき診療科の選び分けについて解説します。まず、第一選択となるのが「呼吸器内科」です。呼吸器内科は、気管、気管支、肺といった呼吸器全般の病気の専門家です。長引く咳の原因として最も多い咳喘息や気管支喘息はもちろんのこと、肺がんや肺結核、COPD(慢性閉塞性肺疾患)といった、見逃してはならない重篤な病気の診断にも精通しています。呼吸機能検査やCT検査などの専門的な検査設備も整っており、咳の原因を総合的に診断する能力が最も高い診療科と言えるでしょう。特に、喫煙歴のある方や、息切れ、血痰などの症状を伴う場合は、まず呼吸器内科を受診するのが賢明です。次に、アレルギー体質が背景にあると考えられる場合は、「アレルギー科」も良い選択肢です。子供の頃からアトピー性皮膚炎があったり、花粉症やアレルギー性鼻炎に悩まされていたりする方の場合、その咳はアレルギー反応の一環として起きている可能性があります。アレルギー科では、血液検査などでアレルギーの原因物質(アレルゲン)を特定し、それを避けるための生活指導や、アレルゲン免疫療法といった、より根本的な治療アプローチを受けることができます。また、咳と共に、鼻水や鼻づまり、喉の奥に何かが垂れる感じ(後鼻漏)が強い場合は、「耳鼻咽喉科」が専門となります。その咳の原因が、副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎である可能性が高いからです。耳鼻咽喉科では、鼻や喉の状態を直接観察し、鼻の病気に対する的確な治療を行うことで、咳の症状を改善に導きます。さらに、胸焼けや呑酸といった消化器症状を伴う咳であれば、「消化器内科」で胃食道逆流症の可能性を調べてもらう必要があります。このように、咳以外の症状に注目することが、適切な診療科選びのヒントになります。自分の症状をよく観察し、最も可能性の高い原因を扱っている専門家を訪ねてみてください。
一か月続く咳、何科を受診するのが正解?